前回は膝蓋骨脱臼についてみてきた。
しかし、後ろ足に関する症状には様々ある。
愛犬が永く元気に歩いていくためにできることはないか?
膝蓋骨脱臼に限らず、様々な後ろ足の症状を予防、緩和する策はないだろうか?
後ろ足の筋肉や腱
縫工筋、大腿筋膜張筋、大腿二頭筋、半腱様筋、半膜様筋、大腿四頭筋(大腿直筋・外側広筋・内側広筋・中間広筋)、内転筋、前脛骨筋、長腓骨筋、長腓骨筋腱、総踵骨腱・・・etc
後ろ足の筋肉や腱は30以上もある。
多くの筋肉、腱が相互に関係し合って動いている。
例えば
大腿四頭筋、縫工筋(前部)、半膜様筋(前部)は膝関節を伸ばす。(伸筋)
縫工筋(後部)、半膜様筋(後部)、半腱様筋、薄筋、膝窩筋、腓腹筋は膝関節を曲げる。(屈筋)
膝を曲げ伸ばしする動作ひとつとっても複数の筋肉が働くことによって成り立っている。
膝と腰の関係
筆者は今まで腰痛を抱える犬にたくさん出会ってきた。また、知り合いの獣医師も「非常に多くの犬が腰痛を抱えている」と言っていた。
膝と腰。一見、全く関係していないように思える。が、実は関係している。
なぜなら、後ろ足の神経は腰の神経(L4~L7)と仙骨の神経(S1~S3)に由来しているからだ。
これは人間の整形外科での話だが、腰椎の異常が関連痛として膝に現れることが知られている。
原因は思いもよらぬ場所
犬も人も体には実に多くの骨、筋肉、神経がある。
それらが互いに強調して働くことによって、はじめてスムーズな体の動きが成される。
だから先に挙げた膝と腰の関係のように、症状の原因は少し離れた部分である可能性もある。
今、痛みがある場所が原因のすべてとは限らないのだ。
外傷によって突発的に負った怪我ではなく、ジワジワと症状が出てきた場合なんかは、他からのシワ寄せで痛みが生じてしまった可能性も高い。
カラダ全体をみることが大切なのだ。
足のケア
先に挙げたように、多くの筋肉・腱がある。
各々、付着している場所や繊維の流れている方向が違う(起始・停止・筋繊維)。
しかし、非常にざっくりではあるが下図のように捉えていいと筆者は考える。
日々の負担を少しでも軽くするために、また今まで蓄積してきたものを少しで軽くするために筋肉をほぐそう。筋肉の流れに沿って、末端に向かって、優しく、けれども少しだけ力を入れて撫でる。足全体を大きく握るような形でほぐしてもいい。
ちなみに体の中心から末端に向かって行う施術(遠心性)はあん摩で用いられ、主に血液の流れを良くし、筋肉をほぐすことを目的としている。
また、末端から体の中心に向かって行う施術(求心性)はマッサージで用いられ、主に血液の流れやリンパの流れを良くすることを目的としている。
まとめ
愛犬の健康管理のために、獣医師にかかるほかにも、自分自身で日頃からできるケアを続けていきたい。