鳥のさえずりが聞こえる。と思ったら、自分の鼻がピーピー鳴っていた。
情けなさと悔しさがこみ上げてきた。
今回は犬の鼻の話。
犬の鼻が優秀ということは、今はもう知らない人はいない。
しかし単に「優秀」という言葉で片付けてしまうには勿体ないほどに
犬の鼻の能力は素晴らしく、魅力的である。
驚愕の嗅覚
犬はニオイを感知する嗅覚受容体がとてつもなく多い。
人間は600万個ほどなのに対し、犬はなんと3億個もの嗅覚受容体を持つ。
また、ニオイを解読するために働く脳の領域は、人間の40倍ほどにもなる。
例えば、オリンピックで使用されるプールに、ほんの僅か ティースプーン1/2杯の砂糖 を入れただけでも、犬はそれに気がつくことが出来る。
オリンピックサイズのプールとは、長さ50m × 幅25m × 深さ2m〜3m。
犬の鼻の秘密
空気を 「吸う」「吐く」が同時にできる
人間の場合は、吸ったら吐く。吐いたら吸う。
しかし犬は、「吸う」と「吐く」を同時にできるという。
正直、色々と調べたのだが、なぜ、どのような仕組みで、そのようなことが出来るのかということまでにはたどり着けなかった。これらがわかったら、また追ってお伝えしたい。
人間でもサックスなどの管楽器をやっている人の中には「循環呼吸」が出来る人がいる。 循環呼吸とは、息を吐きながら吸うテクニックで、息継ぎによる音の途切れを無くすことが出来るそうだ。犬が「吸う」と「吐く」を同時にできるというのもこれと同じようなテクニックなのだろうか?
メカニズムはまだわからないが、「吸う」と「吐く」を同時に出来るということは、「ニオイを嗅ぎ続けられる」ということ。すごい。
ニオイ検出器官「鋤鼻器(じょびき)」
犬には「鋤鼻器」がある。
鋤鼻器とは嗅覚の器官で、フェロモンを受容することに特化している。
発情中のメスの出すフェロモンのニオイが鋤鼻器の嗅覚ニューロンによって検出される。
これは生殖活動に重要な役割を果たす。
残念ながら、人間の鋤鼻器は退化してしまっている。
しかし、どうやら胎児(出生前)には神経が存在しているらしい。もしもまだ人間にも鋤鼻器があれば、ここまでの少子化にはならなかったのか?
鋤鼻器は英語で vomeronasal organ もしくは Jacobson’s organ 。→ヤコブソン器官ならば聞き覚えのある方もいるのでは?
ニオイ を 立体的に捉える
犬は、右の鼻の穴 と 左の鼻の穴 で 別々のニオイを嗅ぐことが出来る。
そして脳は、2つの鼻の穴から嗅ぎ取った異なるニオイが、そのニオイを放つ物体がどこにあるのかを正確に判断することが出来る。
これは人間の目の働きと似ているという。
人間の目も左右で違った景色を見ている。それを脳が解釈、処理してひとつの立体的な風景になる。
ニオイを立体的に捉える事が出来るから、警察犬の仕事の「足跡追究活動」や「捜索活動」を素早くこなすことができる。
もしもこれが立体的でなく、人間と同じような嗅覚であったならば、最終的にはニオイの元にたどり着くことが出来るかもしれないが、「どこからのニオイが一番強かったか」などと右往左往しながら探すことになり、やたらと時間がかかる。
参考・参照元
PET MD : 5 Dog Nose Facts You Probably Didn’t Know
まとめ
血糖値レベルの異常をニオイで感じることが出来る犬や、がん細胞のニオイを嗅ぎ分けられる犬など、犬の能力には脱帽である。
今後ますます、犬の持つ素晴らしい能力にお世話になりそうだ。