環境エンリッチメントという言葉を聞いたことがあるだろうか?
恥ずかしながら筆者は最近ようやく知った。
環境エンリッチメントの定義
環境エンリッチメントとは
環境エンリッチメント(英:environmental enrichment)は、飼育動物の正常な行動の多様性を引き出し、異常行動を減らして、動物の福祉と健康を改善するために、飼育環境に対して行われる工夫を指す。飼育動物の福祉を向上させるもっとも強力な手段の1つとされる。
環境エンリッチメント (2017年9月1日 (金) 00:42)
ウィキペディア日本語版より引用
つまり、環境改良、環境改善ということ。
今、動物園ではこの環境エンリッチメントに力を注いでいるようだ。
動物園の取り組み
従来の動物園では動物たちが常同行動(異常行動の一種)を起こすことが少なくなかった。
常同行動とは同じ場所をグルグルと回ったり、頭を左右に振ったり、柵を舐めたりすること。野生で生活している場合にはしない行動だそうだ。
原因はストレス。
限られた変わり映えのない場所で、狩りをすることなく決められた時間に食餌ができる。刺激も少なく、退屈な時間が流れる中で、動物たちはストレスを溜めていく。
これを改善するべく、各動物園で様々な工夫をしているのだ。
例えば
白熊に食餌を与えるとき、食べ物を隠し、嗅覚を使って探させたり、ボールの中に食べ物を入れ、ボールを転がさない限り食べられないようにする。
キリンの場合は、箱に穴を開けて、その中に食べ物を入れる。そうすることで、キリンの長い舌を上手く使わなければ食べられないように工夫している。
チンパンジーには、蟻塚の中にジュースを入れる。枝を蟻塚の穴に差し込むことでジュースが飲める。また木に小さな穴を開け、そこに食べ物を隠す。これもまた枝を上手く使うことによって食べ物を獲得することができる。
食べ物を容易に獲得できないようにすることで、動物本来の能力を発揮させたり、運動不足の解消も促す。常同行動をなくす工夫をしているのだ。
環境エンリッチメントのカテゴリー
環境エンリッチメントは5つのカテゴリーで考えられる。
・物理(空間)
・採食
・社会
・感覚
・認知
先に例で挙げたものは主に採食エンリッチメントと言えるだろう。
これら様々な工夫によって動物たちのストレスを軽減する試みが行われているのだ。
環境エンリッチメントの定義 その2
調べている中で気がついたことだが、日本における環境エンリッチメントは、欧米のそれと少し解釈に違いがあるようだ。大まかには同じだが、日本の環境エンリッチメントの説明は Environmental enrichment よりも Behavioral enrichmentに近い。
Wikipedia より Environmental enrichment (29 April 2017, at 11:09.)
Wikipedia より Behavioral enrichment (27 January 2018, at 18:59.)
それぞれ Environmental = 環境の 、Behavioral = 行動の 、enrichment = 充実・改良
という意味である。
Environmental enrichment の冒頭に
Not to be confused with Behavioral enrichment.
Environmental enrichment (29 April 2017, at 11:09.)
Wikipedia 英語版より引用
“Behavioral enrichmentと混同しないように” と書かれており
Behavioral enrichmentの冒頭には “Environmental enrichment と密接に関連している” とある。
ただ欧米でも Behavioral enrichment の意味合いで Environmental enrichment を使っている場合もあるようだが…。
そこで本来のというのか、そもそもの Environmental enrichment の意味はというと
身体的および社会的環境によって受ける脳への刺激のことである。この刺激が充実している場合は、シナプス形成の速度が速くなり、脳の活動が活発になる。逆に刺激が欠如している場合は、認知発達を損なう可能性がある。脳への刺激が、アルツハイマー病や認知症などの脳に関する病気の予防や回復を助ける。
(参考・参照元:Wikipedia 英語版 Environmental enrichment)
したがって日本における環境エンリッチメントの解釈は
環境エンリッチメント = Behavioral enrichment ➕ Environmental enrichment
(Environmental enrichmentを基として、環境エンリッチメント/ Behavioral enrichmentがある)
と筆者は捉えている。
まとめ
本当は犬のための環境エンリッチメントとして何ができるのだろうかと言うことを調べていたのだが、言葉の解釈について長々と書いてしまった。
次回は犬のための環境エンリッチメントについて考えていきたい。