犬は人間の2〜3歳並みの知能を持つと言われている。
今回は、犬と人間の言葉について。
理解できる言葉の数
165語。
犬が理解できる人間の言葉の数は、およそ165語と言われている。
特殊な訓練を受けた犬ではなく、一般的な犬で165もの言葉を理解するというのだから驚きだ。
しかし、世界一賢い犬と言われている チェイサー( ボーダーコリー )は、その数をはるかに凌ぐ1000語を超える言葉を理解する。(1022語)
驚きの能力 ~ チェイサー と リコ ~
名詞と動詞
チェイサーは、名詞と動詞を区別して理解できる。
下の動画を見て欲しい。
動画の内容は、男性が指示を出して、その指示通りに犬が行動する、というもの。
指示内容には、3種類のおもちゃと、3種類のアクションが使われた。
おもちゃには、羊(Ram:右)、キューブ(ABC:中央)、くちびる(Lips:左)。
アクションは、取る(Take)、引っ張る(Pull)、鼻で触る(Nose)の3種類。
男性は無作為に、名詞と動詞を組み合わせて指示を出す。
最初の指示は“Take Ram”。次は“Pull Ram” → “Take Lips” → “Nose Ram”…
“Take Ram”では羊をくわえ、“Pull Ram”では足で羊を引っ張り、“Take Lips”でくちびるをくわえ、 “Nose Ram”では羊を鼻で触る。
一般的によく見るのは、「名称」と「物」を一致させることができる能力。
「名称」を聞けば、一致した「物」を取ってくることができる。
正直、これだけでも充分に凄いと思うのだが、チェイサーの場合は、それに加えて動作の指示を区別できるのだ。
記事によると、チェイサーは1日 5時間近くのトレーニングを行なったという。
消去法
テストで誰もが使ったことのある、消去法。
未知の問題に直面した際、選択肢がいくつかある中から、今ある知識を基に、正解の可能性が低いものを選択肢から除外していき、正解を導き出す方法。
リコ(ボーダーコリー)は、この消去法を使うことができるという。
リコは、チェイサー登場以前、200の言葉を理解できる犬としてワールドレコードを持っていた。
そして、研究において、知らない言葉を聞いた際に、消去法を使って正解を導き出せるということを証明したのだ。
つまり…
①キュウリ ②トマト ③スイカ が並んでいるとする。
あらかじめ、犬には ①キュウリ ②トマト は覚えさせている。
そこで「スイカを触りなさい」と指示を出す。
犬にとって「スイカ」は初めて耳にする言葉。
しかし今ある知識、①キュウリ ②トマト以外のものを選択することによって正解を導き出す。
「自分が知っている キュウリは違う、トマトも違う…ならば残ったコレがスイカだ!」といった具合に。(これは実際の実験内容ではない。)
加えてリコは、習った言葉を1ヶ月間 聞いていなかったとしても、覚えていられるという。
参照・参考文献
・love has no labels より How Many Words Do Dogs Know?
・the do do より World’s Smartest Dog Has 1,000-Words Vocabulary
・Deseret News より German dogs a real whiz
まとめ
今回登場した チェイサーとリコは両者とも、賢い犬種として有名なボーダーコリーであった。
犬種によって得意な分野は異なる。しかし、犬の持つ能力は未知数。
他の犬種にも同じ程度の能力があるかは不明だが、トレーニング次第では、この能力を開花、向上させることができるかもしれない。
トレーニングが犬と人間の意思疎通を向上させ、犬の能力を引き出すエンリッチメントになれば最高である。
次回は言葉の習得方法について見ていきたい。